route349
南相馬はそこまで雪は降らないらしい。
就職活動中だった私は延々と続く山道を
延々とどういう会社を受けるべきか悩みながら走行した。
またトラックに抜かされる。
普段はトラックが後ろに見えるとハザードをつけて左に寄り大人しく抜かしてもらうが、
あまりにも抜かされ続けるとバカにしてるのか?という見当違いな苛立ちが生まれる。
少し頑張って登りカーブに挑んでも
乗っているのは軽乗用車だということは変わらない。
抜かされ、抜かし。
この暗闇が何時まで続くのか、
街に出るときの気分は。
暇な私の脳ではすべてが人生の道に例えられた。
窓を開けた放射能の心配をするのは
安定した将来の保険を考慮した企業選びに見えたり
街に降りるとそこは想像よりも豊かだった。
国からの賠償金がでている。
なぜ焼き肉チェーンの売り上げ1位がど田舎の原町店だったのか理由がわかった。
その100万円はどういう100万円なのか。
臓器買収に近い100万円じゃないのか。
当たり前のことだけど
人生なにが起こるかなんて分かんない、
とりあえず今はこの胸の痛みをどう解消すればいいか、
就職活動なんて実はそっちのけだった。